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- 富士山展とは -

企画背景

日本は先進国であるにも関わらずアートに関しては他国に水をあけられている状況にあります。美術館入館者数やクリエーターの数は世界トップクラスにあります。歴史文化も芳醇で、クリエイティブカルチャー全般で言えばここまでの文化大国はありません。しかし、なぜアートに元気がないか。その原因の一端は西洋のアートシーンに能動的に関われなかった歴史にあるかと思います。

皆さんもご存知の通り、近代 美術史黎明期の印象主義と括られる画家は日本の浮世絵に影響を受けて「新しい」表現を模索しました。近代美術史に唯一名を連ねる藤田嗣治はエコール・ド・パリ(絵のスタイルではなく、外国からパリに集まっ たアーティストという括りの総称)として扱われています。松澤宥はジョセフ・コスースより早くコンセプチュアルアートを行い、森村泰昌はシンディ・シャーマンより早く「絵画を演」じ、森山大道はシェリー・ レヴィンより早く「写真の写真を撮」っていたとされます。しかし、このような功績は世界のアートシーンに充分なインパクトを与えることが出来ませんでした。バブル期に日本に経済力がついたときにも、日本のお金持ちは西洋の印象主義の絵画を買い漁りました。
他方で、現在中国のアートシーンは中国国内のお金持ちによって大いに支えられ、美術史を塗り替えようとしています。マーケットが弱いから、批評が育たない から、発信力がないから、そういった原因はいくらでもあげられますが、どれもお互いに絡んでいて、簡単には脱することが出来ない悪循環を生んでいます。

しかし、テクノロジーを活用すればこのような悪循環も情熱次第でひっくり返せると強く信じます。 「PPAP」をジャスティン・ビーバー(本人も出自はYoutuber)がtwitter上で紹介した事をきっかけにビルボードで日本人の曲が26年ぶりにランクインしたニュースはテクノロジーの活用で文化の壁を一瞬で乗り越えた好例です。他にも、電話線を引くインフラ工事が難しい国々で固定電話より前に携帯電話が普及するといった現象は、長く世界に置いてけぼりにされた日本のアートが元気になる可能性を感じさせます。

もし、良い循環が生まれはじめたら、日本は世界を凌駕するアート大国になることと断言出来ます。その時のアートは、今現在皆さんが思い描くアートとまた違ったものになっているでしょう。アートの定義が変わることはアートの最大の強みでもあります。Googleで人工知能プロジェクトを指揮する発明家レイ・ カーツワイル曰く「VRは今後10年で現実世界との区別がつかなくなるほど精度を高める」としてます。文字通り「視覚・聴覚情報の物理的なハードル」が無になる頃にはVRで開催される美術展に世界中から億単位の集客があるようになってもおかしくありません。

アートにとってそんな最高に華やかな時代がもうすぐそこにあるのを見越して、私は10年前に「startbahn」​を考案しました。その頃に思い描いたことがようやく少しずつ実現できるようになってきた現在、満を持して、初めてキュレーションした展示が「富士山展」です。大きな目標を実現するには皆さんのご協力が不可欠であります。思いがたくさん詰まった「富士山展」を何卒よろしくお願いいたします。(2016年12月、富士山展β企画書より)

美術家
スタートバーン株式会社代表取締役
AWAJI Cafe & Galleryディレクター
施井泰平